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非浸潤性乳がん
乳がんは、浸潤性乳がんと非浸潤性乳がんの2種類に分類されます。従来、乳がんは、しこりなどの自覚症状により受診し発見されることがほとんどでしたが、マンモグラフィの導入により、手で触れるようなしこりのない段階で発見することが可能になりました。
検診受診者数の増加、検査精度の向上により、ごく早期の乳がんである非浸潤がんの発見率は年々増加の一途をたどっています。
がんが恐れられるのは、周囲の組織に浸潤し広がり、やがて血液やリンパの流れにのって離れた臓器に転移をおこす性質を持っているからです。
乳がんは、最初、乳管や小葉から発生しその中に留まっています。非浸潤がんは乳管や小葉の膜(基底膜)を破っていないがんであり、手術で切除すれば完全に治すことができるので、本当の意味での早期がんといえます。


非浸潤性乳がんとは  非浸潤性乳がんの診断  非浸潤性乳がんの治療
術後の補助療法について 非浸潤性乳がんと診断された方へ 

非浸潤性乳がんとは
非浸潤性乳がんの定義

浸潤がんと非浸潤がん乳がんは、乳管や小葉の上皮細胞から発生します。最初、乳がんは発生したその乳管や小葉の中に留まっており、基底膜を破って周囲の組織(間質)への浸潤をしていないものを、「非浸潤性乳がん」と言います。
しかし、非浸潤がんの病理診断は非常に難しく、検査によって導き出されるのは、「非浸潤がんの疑い」であり、最終的には組織診や手術後の病理結果によって、はじめて「非浸潤がん」という診断が確定します。


非浸潤性乳がんの分類

非浸潤性乳がんは、非浸潤性乳管がん:DCIS(ductal carcinoma in situ, intraductal carcinoma またはnoninvasive ductal carcinoma)と非浸潤性小葉がん:LCIS(noninvasive lobular carcinoma,lobular carcinoma in situ)に分類されます。


非浸潤性乳がん患者の増加

非浸潤がんと診断される患者の数は年々増加し、全乳がんのおよそ10%強を占めており、今後さらに増加が見込まれています。また、しこりなどの自覚症状がなく検診で発見される率は、検診全体のおよそ20%とも言われています。

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非浸潤性乳がんの診断
非浸潤性乳がんの症状


●微細石灰化(画像診断)
●小さな腫瘤(しこり)の触知
●乳頭からの分泌液(血性の場合が多い)
●乳頭・乳輪の治りにくい湿疹・びらん(ただれ)


非浸潤性乳がんの症状の多くは、触知できるようなしこりもないことが特徴です。

非浸潤性乳がんの検査

非浸潤性乳がんの診断確定までの検査は、以下のようなものがあります。

<マンモグラフィ検査>
触知できるしこりがない場合でも、マンモグラフィ検査により微細な石灰化を発見することができます。
石灰化病変がすべて乳がんというわけではありません。微細な石灰化が線状(乳管の中をはうように)に存在したり、局所に固まって集っているなどが悪性を疑う所見となります。良性(嚢胞、繊維線種、乳腺症、乳管内乳頭腫)にも石灰化を伴うものがあります。

マンモグラフィで、明らかに悪性を疑う石灰化でない場合も、経過観察(定期的に検査をすること)を続けることが大切です。

<穿刺吸引細胞診(せんしきゅういんさいぼうしん)
手に触れるしこりがある場合は、しこりに細い針を刺し、細胞を吸引して採取し、がん細胞の有無を病理で確認します。

<画像ガイド下細胞診および組織生検>
= 超音波検査ガイド下細胞診 =
手に触れないほどの小さなしこりでも、超音波で認識できる場合は、超音波の画像を見ながら針を刺し、細胞を採取して病理検査を行います。

= マンモトーム生検 =
石灰化のみの病変に対して特に有効な検査です。うつ伏せになり、乳房を丸い穴から出しアクリル板ではさみます。局所麻酔をして、直径3mm程度の針を刺し、組織を吸引します。マンモトームは、針を一度刺したまま動かさずに、180度回転させることができるので、周囲の組織を何度でも採取することが可能です。また、外科的生検のように傷口を縫合する必要もなく小さな傷ですみます。

  

<乳頭分泌物細胞診>
乳頭からの分泌物をプレパラートに採取し、がん細胞の有無を病理で確認します。

<乳管造影・乳管内視鏡検査>
乳頭から血性の分泌液がある時、乳管から細い針を挿入し、造影剤を注入したのち、レントゲンで撮影します。乳管内乳頭腫などがあると、乳管が途切れたり変形していることが画像からわかります。
乳管内視鏡は、乳管に細いファイバースコープを挿入し直接、乳管の内部を観察します。細胞を採取して病理検査でがん細胞の有無を確認します。

<摘出生検>
非触知の病変を外来手術で摘出します。

= ステレオガイド下組織診 =
浸潤がんと非浸潤がん乳房の画像を3次元的にコンピュータで画像処理できるマンモグラフィを使い、目印となるガイドワイヤー(フックワイヤー)を石灰化病変部分に刺します。その後、手術室に移動し、ワイヤ周辺の組織を切除します。
摘出した病変組織はすぐにマンモグラフィで撮影し、病変部分が摘出されたことを確認し、手術を終えます。
組織を乳房温存病理検査にまわし、確定診断をつけます。
非浸潤性乳がんで乳房温存術を考慮する場合は、この検査により、病変の広がりを慎重に評価する必要があります。

摘出生検は局所麻酔で行う外来手術ですので、入院の必要はありません。

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非浸潤性乳がんの治療

非浸潤がんは、手術で切除すれば完治の可能性が高いので、治療の第一選択肢は手術になります。
非浸潤性乳がんは手術により乳腺を切除すれば完全に治すことが可能ながんであるため、乳腺の全切除が標準的な手術として行われてきました。
しかし、最近は、病変の広がりを正確に把握することで、温存手術が行えるようなケースもでてきました。腋窩リンパ節郭清は原則として不要と考えられています。
非浸潤性乳がんの治療の選択肢は多く、どのような治療を選択するかは、患者さん自身の価値観や生き方も考慮して決定することが望ましいでしょう。


非浸潤性乳管がん(DCIS)の治療

非浸潤性乳管がん(DCIS)の治療は、原則的に以下から選択されます。

●全乳房切除術
●全乳房切除術+ホルモン療法
●皮下全乳腺切除術+同時再建
●皮下全乳腺切除術+同時再建+ホルモン療法
●乳房温存手術+放射線療法
●乳房温存手術+放射線療法+ホルモン療法


術式の選択石灰化病変が乳房の広範囲に広がっている場合は乳房全切除が推奨され、病変が一箇所に集って(限局)ている場合は乳房温存の対象となります。いずれの場合も腋窩リンパ節郭清は不要とされていますが、センチネルリンパ生検を行う場合もあります。
また、乳房温存術を選択した場合でも切除断端が陽性であれば追加切除を行い、最終的に全摘となる場合もあります。

乳房温存術の場合は術後に放射線照射を行いますが、病理結果や医師、患者さん自身の考え方により省略される場合もあります。

また、乳房温存術の10〜20%に局所再発が見られます。その半数が浸潤がんとして再発します。再発した場合はあらためて全乳房切除術が行われ、リンパ節郭清またはセンチネルリンパ生検が行われます。

従来、非浸潤性乳がんは乳腺を全部摘出すれば再発の可能性は理論的にはゼロに近くなるため治療は乳房全摘が標準的な治療でした。しかし、現在は病変の広がりがない局在型は温存手術の適応となっています。


非浸潤性小葉がん(LCIS)の治療

非浸潤性小葉がん(LCIS)の治療は、原則的に以下から選択されます。

●臨床経過観察(治療をせず定期的に検査を続け経過を観察すること)
●全乳房切除術(予防的な切除であり、両側とも摘出することもある)


非浸潤性小葉がんは、浸潤がんの前触れという考え方があり、治療については議論が分かれています。手術などの治療を行わず経過だけを続けることもありますが、両側の乳房に広がっていることが多く、25年以内にどちらかの乳房に浸潤がんとして発生する可能性が高いとされているため予防的に両側の乳房を切除するという考え方もあります。しかし、多くの専門医は予防的な切除を適切だとは考えていません。

非浸潤性乳がんは、手術によりがんを完全に摘出すれば理論上完治と言えます。したがって、全乳房切除術を選択した場合は再発を予防するための補助療法は原則として不要です。 一方、乳房温存術を選択した場合は、残した乳腺に局所再発を来たす可能性があるため、補助療法を推奨されることがあります。 非浸潤性乳がんの補助療法は、タモキシフェン(抗エストロゲン剤)によるホルモン療法が第一選択肢となっています。

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術後の補助療法について
非浸潤性乳がんは、全乳房切除術を選択した場合は再発を予防するための補助療法は原則として不要です。 一方、乳房温存術を選択した場合は、残した乳腺に局所再発を来たす可能性があるため、補助療法を推奨されることがあります。 非浸潤性乳がんの補助療法は、タモキシフェン(抗エストロゲン剤)によるホルモン療法が第一選択肢となっています。

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非浸潤性乳がんと診断された方へ
非浸潤性乳がんのジレンマ非浸潤性乳がんで治療を受ける患者さんは年々増えています。適切な治療を受ければ完治の可能性は高いがんですが、病変が広範囲に広がっていれば乳房を全部切除せざるを得ないこともあり、せっかく早期に見つかったにも関わらず乳房を失うということに割り切れないものを感じる方も多いでしょう。
また、非浸潤がんはがんではないという意見もあり、治療を受けることを躊躇する方もいます。
しかし、非浸潤性乳がんにかかる人の平均年齢は浸潤がんのそれと比べて5歳ほど若いというデータもあり、現在のところ非浸潤がんはやがて基底膜を破り浸潤がんとなると考え、治療を行うというのが専門医の統一見解になっています。


生命保険給付について

保険が適用されないがん特約付きの生命保険商品の中には、非浸潤性乳がんに対しては保険給付がされないものがあります。 上皮内新生物(上皮ガン)であるため、保険給付の対象外と判断され、浸潤性乳がんと同様に手術などの治療を受けても保険給付から除外されるケースが多々あります。約款などに、上皮内新生物を除くと記載があるものは注意が必要です。

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