がん患者サービスステーション TODAY!
サイトマップサイト内検索


乳がんの検診
乳がんの症状と検査
乳がんと治療の基礎知識
治療のためのキーワード
治療1 手術
治療2 放射線療法
治療3 化学療法
治療4 ホルモン療法
治療中の生活工夫
術後の診察と定期検診
非浸潤性乳がん
乳房再建
トップページへ


全国・専門医のいる病院


患者SS(サービスステーション)
Shopping Mall Today
がんに関する本


各種お問合せ

内容の説明Q&A

TOP > 治療4 ホルモン療法 > 内容の説明
治療4 ホルモン療法
手術後の初期治療の一つに、ホルモン療法(内分泌療法)があります。
ホルモン療法は、血液やリンパ管を通して全身に散らばってしまった可能性のある、目に見えないがん細胞が増えるのを抑え、再発・転移を予防する全身治療です。


乳がんと女性ホルモン  ホルモン療法と抗ホルモン剤の種類
LH−RHアゴニスト製剤  アロマターゼ阻害剤  抗エストロゲン剤  合成プロゲステロン剤
ホルモン療法の副作用と対策  生活上の留意点  ホルモン療法の治療費

乳がんと女性ホルモン
乳がんの増殖

乳がんの中には、女性ホルモンの影響を受けて、分裂・増殖が促進される性質を持ったものがあります。
女性ホルモンの一種であるエストロゲンが、乳がん細胞の中にある、エストロゲンレセプター(ER=エストロゲン受容体)と結びつき、乳がんの増殖を促します。
乳がん細胞の核の中のカギ穴(エストロゲンレセプター)に、カギ(エストロゲン)が入ると、分裂・増殖の扉が開かれるということです。

エストロゲン受容体と治療

ホルモンレセプターのある乳がんを「ホルモン依存性の乳がん」といい、ホルモン療法の効果が期待できます。
手術で摘出した乳がん細胞で、ホルモンレセプターが有るか無いか、陽性(+)、陰性(−)を調べます。
エストロゲンレセプター(ER),プロゲステロンレセプター(PgR)のどちらかが陽性の場合、ホルモン療法が有効とされています。

ホルモンレセプターが陽性(+)の場合は、ホルモン療法のみか、ホルモン療法と化学療法の両方を受けるかは、病理結果によって選択されます。
ホルモンレセプター陰性(−)の場合は、化学療法を受けるのが、標準的です。

閉経前のエストロゲンのでき方

女性ホルモンは、閉経前と閉経後では、でき方が違います。
そのために、使う薬も違ってきますので、ここで、エストロゲンのでき方を、知っておきましょう。


視床下部からLH-RH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)が分泌されます。このLH-RHが、脳下垂体でLH-RH受容体と結合し、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)を作り出します。

この卵胞刺激ホルモン(FSH)の刺激を受けて、卵巣からエストロゲンが分泌されます。
エストロゲンは、乳がん細胞の中にある、エストロゲンレセプターと結びつき、がん細胞の分裂・増殖を促進してしまいます。

閉経前の女性ホルモンのでき方とホルモン周期について詳しくはこちらへ

閉経後のエストロゲンのでき方

卵巣機能が低下した閉経後は、エストロゲンの産生の仕方がかわります。


脳下垂体からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の刺激を受け、副腎からアンドロゲン(男性ホルモン)が分泌されます。

このアンドロゲンが、全身の脂肪細胞などにあるアロマターゼという酵素と結合して、エストロゲンに作り変えられます。
このエストロゲンが、乳がん細胞のエストロゲンレセプターと結びつき、増殖を促進してしまいます。

▲ページTOPへ


ホルモン療法と抗ホルモン剤の種類

ホルモン療法は、初期治療・再発転移治療の両方で行われますが、ここでは、主に初期治療でのホルモン療法について説明します。



ホルモン療法には、エストロゲン自体を作らなくする方法と、ホルモンレセプターに付いてエストロゲンが結合するのを阻止する方法があります。



エストロゲンの産生を抑える薬は、閉経前か閉経後かによって、使用する薬剤が違ってきます。
エストロゲンの結合を阻止する、抗エストロゲン剤は、閉経の前後両方に使われます。



▲ページTOPへ


LH-RHアゴニスト

閉経前はエストロゲンのほとんどが卵巣で作られます。
卵巣でエストロゲンを作らないようにするのが、LH-RHアゴニスト製剤です。


視床下部からLH-RH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)が分泌され、脳下垂体でLH-RH受容体と結びつき、卵胞刺激ホルモン(FSH)を作ります。
この卵胞刺激ホルモンの影響を受け卵巣でエストロゲンが作られます。

LH-RH製剤は、LH-RHになりすましLH-RH受容体に貼りつき、卵胞刺激ホルモン(FSH)を出さないようにします。
この為、刺激がこなくなった卵巣では、エストロゲンを作らなくなり、乳がんの増殖を抑えることができます。

投与は2年間が標準で、この間、基本的に生理はとまります。
年齢によって差がありますが、生理は投与終了後半年ぐらいで戻ってくることが多いようです。
1960年代までホルモン療法の主流だった卵巣摘出と、同程度の効果があります。

LH-RHアゴニスト製剤の種類と副作用

LH-RHアゴニスト製剤は、ゾラデックスとリュープリンの2種類あります。
作用は同じですが、固形か液体かの違いがあり、又、保険適応にも差があります。

▲ページTOPへ


アロマターゼ阻害剤

閉経後は、卵巣の働きが低下するので、卵巣からのエストロゲンの分泌量が低下します。


閉経後は、脳下垂体から副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が分泌し、副腎を刺激します。
この刺激によって副腎からは、アンドロゲン(男性ホルモン)が分泌され、これが、脂肪細胞にあるアロマターゼと結合してエストロゲンを作ります。

アンドロゲンより先に、アロマターゼと結合し、エストロゲンの産生を抑えるのが、アロマターゼ阻害剤です。

アロマターゼ阻害剤は、比較的新しい薬なので、使用期間については、検証が進んでいる最中です。

アロマターゼ阻害剤の種類と副作用

▲ページTOPへ


抗エストロゲン剤



エストロゲンは、乳がん細胞にあるエストロゲンレセプター(ER)と結合して、乳がんの増殖を促進してしまいます。

これに、先回りして、エストロゲンレセプターと結合し、エストロゲンが結合できないようにしてしまうのが、抗エストロゲン剤です。その結果、乳がん細胞の分裂・増殖を阻止します。

抗エストロゲン剤の種類と副作用

抗エストロゲン剤は、更年期障害のような副作用がありますが、一方で、エストロゲンと似たような作用もあるので、コレステロール値を下げたり、骨粗鬆症の予防効果もあります。

▲ページTOPへ


合成プロゲステロン剤

主に、進行・再発・転移乳がんに処方される薬です。
強力な黄体ホルモン作用でエストロゲンを減少させますが、作用は複雑で不明な点も多いようです。
抗がん剤の副作用を軽減する効果もありますので、抗がん剤と併用されることもあります。

合成プロゲステロン剤の主な副作用と対処法

最も注意するのは、血栓症です。発生率は、1.37%と報告されています。このため、血栓症をおこしやすい手術直後は処方されません。また、高血圧症・糖尿病・高脂血症などの方は、特に注意が必要です。

  体重増加(食欲増進)ムーンフェース 性器出血 浮腫
  骨髄保護作用(白血球増加作用)など、抗がん剤の副作用を和らげる効果があります。

▲ページTOPへ


ホルモン療法の副作用と対策

乳がんを増殖させてしまうエストロゲンですが、本来は、女性の健康には、なくてはならない働きをしています。
ホルモン療法の副作用は、化学療法の副作用に比べると、それほど大変ではないといわれていますが、治療によって、低エストロゲン状態になると、更年期障害のような症状が出ることがあります。
<副作用への対処として大切なこと>
 ○ホルモン療法の種類や作用の仕方を正しく理解し、自分の体の変化を理解する。
 ○他の薬剤に変更することによって、副作用が改善することもあることを知っておく。

理解を深めると、不安感が少し和らぐかもしれません。
又、ホルモン療法中に気分の落ち込みを経験する方も多いようです。自分だけがおかしいのではないかと、不安に思わず、薬の副作用であることを理解しましょう。ホットフラッシュなどの緩和と共に、アロマセラピーや漢方を活用している方もいらっしゃいます。
がん患者のためのアロセテラピーは、VOL−NEXTでも講習会などを行っております。興味のある方は、ぜひご参加下さい。


子宮内膜がんの心配について

タモキシフェンは、乳がんにはエストロゲンの働きを抑える働きをしますが、子宮では、女性ホルモンとよく似た作用をするため子宮筋腫・子宮内膜がんのリスクが高まると言われ、必要以上に不安に思う方があるようです。
しかし、実際には左表のように子宮内膜がんが発生する率はごくわずかで、乳がんの再発率を抑える効果の方が圧倒的に大きいという結果が出ています。
定期的(一年に一度ぐらい)に婦人科の検診を受けておくと安心です。又、不正出血などがある場合は、すぐに主治医に相談しましょう。

▲ページTOPへ


生活上の留意点

ホルモン療法は、長期間にわたるので、生活上の留意点には気をつけ、それ以外は、必要以上に力を要れずに普段どおりの生活を送りましょう。

▲ページTOPへ


ホルモン療法の治療費

ホルモン療法は、長期間にわたるので、治療費についても、前もって知っておくと安心です。




▲ページTOPへ



ホルモン療法は、女性の心と体の健康に深くかかわる、エストロゲンを抑制してしまうので、ホルモンのバランスが崩れてさまざまな副作用が起こるのも頷けます。
副作用がきつい時は、漢方薬を処方してもらったり、カウンセリングを受けている方も多いようです。
無理に元気を装ったりせず、リラックスして治療と上手に付き合っていきましょう。

参照:ホルモン療法中のケアについては、
「治療中の生活工夫」のページをご覧ください。

VOL-NEXTリンク規定著作権Copyright(c) 2004 VOL-NEXT. All Rights Reserved.